返信5:不快について(最首悟、2018/11/13)

序列をこえた社会に向けて

不快は、不快感というように、主として、感覚から生じる感情です。感覚は五感と言いますが、中でも匂いと味が不快に大きく関係します。この匂いはいやだ、この味はまずい(不味い)という気持ちが起こって、その原因となると思われるものから、離れたり、避けたり、吐き出したりします。場合によって、いのちに関わる危険に通じるので、不快感は重要な知らせです。

暮らしの中では、食物の匂いの他に、口臭や髪の毛、腋臭(わきが)、垢や加齢臭などの体臭、そして排泄物の匂いが気になります。異性を惹きつける匂いは大事ですが、フェロモンのように、匂わない匂い物質もあります。

食物では発酵と腐敗が欠かせません。どちらも微生物や細菌の営みによるもので、主として発酵は糖質の分解、腐敗はたんぱく質の分解なのですが、腐敗のアンモニア臭は強烈です。世界一臭いといわれるスエーデンのニシンの塩漬けの缶詰「シュールストレミング」は、開けると目は痛くなるし、匂いは下水道とか、昔の公衆トイレのようだといいます。とても口に入れる食物とは思えないというものの、珍味なのです。

匂いにかぎらず、汚いもの、汚れに敏感な人は潔癖性と言われますが、高じると潔癖症という病気だとされます。過度の朝シャンとか、娘の自分のものと父親の下着は一緒に洗わないというような現象は、人間関係のあり方まで含んだ拒否の表れです。

問題は大便です。小水と並ぶ人の排泄物ですが、なかなか直截に言えず、幼児言葉での表現も抵抗があります。それで、ここでは、イギリスの宮殿の大時計はビッグ・ベンと呼ばれるのですが、ビッグ・ベンてなんのことだと思う?と聞いてみたら、大便のこと?という答えが返ってきたことがあるので、ビッグベンとしようかと思うのですが、冒涜かもしれません。それで必要な時はビッグ便と言ってみます。

ビッグ便は、科学研究上で言えば、腸内で100兆個と言われる大腸菌叢(そう)の問題がいちばんですが、その研究はまだ幕開け状態で、それでも人の一生に関わる重大な影響が報告され始めています。

日常の生活では、まず排便に滞りがないか、硬さ柔らかさはどうか、色は、匂いは、が問題です。睡眠は3日寝ないと命にかかわるといわれますが、便秘は102日の記録があるそうで、それにしても大変な苦しみだと思います。我が家の42歳になる娘は1日2食ですが、だいたい1週間か10日に1回排便します。

ビッグ便の色は胆汁の色です。胆汁が来ないと白便になります。菜食穀物食では黄褐色、肉食が多くなると濃褐色になる傾向があります。硬さ柔らかさは一概に言えません。でも草食の牛糞や馬糞を思うと、肉食の方が柔らかいと言えます。

問題は匂いです。一言でいって臭いのです。食べたものや身体の状態によって我ながら辟易することがあります。介護の資格を取ろうとする過程で実地に臭さに出会って、到底耐えられないと諦める人がいます。ただ慣れということがあります。いい面にも悪い面にも働きますが、順応にも適応にも大きな役割を果たします。ホームレスだろうとつい思ってしまう人で、頭の毛は固まり、手足も垢だらけの人に出会うことがあります。でも本人は匂いに慣れて、すれ違う人が鼻をつまんだりしたら不快に思うでしょう。

我が家でも10日か1週間ごとに大騒ぎです。大量のビッグ便を紙おむつに出します。半分くらい出してトイレに座らせて残りを出すこともあります。窓をみんな開け放ったり、紙おむつのビッグ便を詰まらないように幾つかに分けて流したり、風呂に入れたり。でも、陽気な気分が漂います。よかった、よかった。そして本人は気持ちよさそうに寝入ります。

よいこともあります。流すためにほぐしたりしていると、そのまま出ていることに気づいたりすることです。ご飯は自分で食べず、そして噛まずに丸のみという状態なので、刻んで食べさせるのですが、トウモロコシやこんにゃくなどは丸ごと出てきます。

次回はビッグ便についてもう少し続けます。