農薬水俣病

安藤哲夫さん(鹿児島大学)の農薬水俣病に関する資料を掲載します。

最首塾は、安藤さんと2008年頃からつながりをもってきました。2009年12月24日(木)には「69年以降のメチル水銀汚染――水俣病の現在――」と題する講演会を都内(文京区民センター)で開催しました。同年7月に国会をとおった水俣病特措法が、患者切捨てを明らかに意図したものであることに危機感をもったためでした。

そして、2012年8月1日、この危機感は現実のものとなりました。7月31日をもって特措法申請が締め切られたのです。水俣病は半世紀以上経つ現在も全く解決の見通しが立っていません。潜在患者数は10万人を超えると言われます。その中にこれまでの水俣病理解では掬いきれない方がいないと果たして言い切れるのでしょうか。私たちは一つ一つ可能性を探ってみなければいけません。

(丹波博紀)

最首悟さんによる紹介

水俣病の現在の要めは、科学が定義した現象の名前には完結性があり、新たな事実・原因がその現象に付加されるときは新しい名前を付けねばならない、ということです。加害者である国家行政は水俣病はあくまで認定基準を定めた水俣病であり、メチル水銀経口摂取中毒症は水俣病ではないと主張します。患者・患者支援者は不知火海及びその他の水域での工場排水による経口摂取メチル水銀中毒を水俣病だと主張しています。しかし水俣病症状に苦しむ当人には名前などどうでもいいのです。この立場に立つと、メチル水銀ではない有機水銀、有機水銀ではない無機水銀、そして他の原因物質と複合相乗した胎児期の影響が表れてくる水俣病を想定せざるを得ません。現にそういうふうに苦しんでいる人たちがいるのです。

まとめると、工場排水だけでは説明できない事実がある。フェニル水銀農薬の散布を考慮すると、説明できるものがある。さらにそれでも説明できない農薬使用禁止後の症状がある、ということです。農薬については加害者側科学者が工場排水から目を逸らさせるために主張した印象が強く残り、患者支援側は農薬と聞いただけで敵の回し者の言い分と切って捨てる傾向があります。それは真の患者支援とは言えません。いま、水俣病は複合汚染病ではないかという考えを強く持つ必要があります。

(2012/08/01)



安藤哲夫さんによる農薬水俣病研究


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安藤哲夫
新潟水俣病とメチル水銀汚染源−その1
−下流域26人の急性・亜急性患者のメチル水銀曝露源−

(20151105 NEW
安藤哲夫
「臍帯中メチル水銀濃度の 地理的及び時系列的変動に関する 環境疫学――
69年12月以降と汚染区域外というメチル水銀汚染の限界の存在についての考察」

(20120725)
安藤哲夫
「御所浦の頭髪総水銀濃度――
熊本衛生研究所・松島義一技官によるデータの検討」

(20120726)
安藤哲夫
「母・新生児(胎児)の血中Hg――
1975年鹿児島市民の血中総水銀濃度に見られた季節差の原因について」
(20120807)
安藤哲夫
「水俣病沿岸の急性・亜急性および胎児性水俣病はメチル水銀と様々な工場廃液中化学物質との複合汚染による発症ではないのか」
(20120821)



更新:20120801, 0807, 20151105



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